世界中に「響」く…
世界に「響」く…

「響」ブランド誕生の経緯とその成長

 今や世界に名だたるウイスキーメーカーとして知られるサントリー。そのサントリーがつくるブレンデッドウイスキーの最高峰が「響」だ。
 「日本人の感性で、世界で愛されるウイスキーをつくる。」というサントリー創業者であり、初代マスターブレンダーである鳥井信治郎の熱い想いを受け継いだ信治郎の次男、そして二代目マスターブレンダーの佐治敬三。彼によって響はサントリー創業90周年を迎えた記念の年、1989年に生み出された。「最高峰と呼ぶにふさわしいウイスキー」を目指し、創業90年を迎えてようやく揃った高品質な原酒を、長年の経験で培われた技術で絶妙にブレンドした。
 中味だけでなく装いにも贅を尽くし、時を象徴する24面カットのボトルを用意。ラベルも、和紙デザイナーの堀木エリ子氏が手漉きでつくる越前和紙に、書家・荻野丹雪氏が墨跡鮮やかに「響」の文字をしたためたデザイン。また、ブランドカラーの「深紫(こきむらさき)」は様々な色を重ねることで生まれる色で、多彩な原酒のブレンドから生まれる「響」の奥深さを表現している。
 こうして誕生した響は、業界内でも高い評価を受け日本国内のウイスキーファンたちを魅了した。2004年には「響30年」がISC(インターナショナル・スピリッツ・チャレンジ)で最高賞「トロフィー」を受賞。以来、響ブランドは数々の著名な酒類コンペティションで受賞を重ね、2017年のISCでは出品されたすべての蒸溜酒の中で最も優れた物として「シュプリームチャンピオンスピリット」を受賞する快挙を成し遂げている。

響ブレンダーズチョイス

 2018年9月4日、「17年(休売中)」「21年」「30年」「ジャパニーズハーモニー」に続く響ブランドの新商品として発売されたのが「響 ブレンダーズチョイス」だ。現在のマスターブレンダーである鳥井信吾氏と五代目チーフブレンダーである福與伸二氏の手により、これまで受け継がれてきたブレンド技術と新たな挑戦を盛り込み開発された。
 ブレンダーズチョイスに使用されている原酒は若いもので12年から、30年を超えるような超長期熟成原酒まで様々。平均して15年程度の原酒がこれまでのシリーズ同様巧みにブレンドされている。しかし、ブレンダーズチョイスにはこれまでの響シリーズと一線を画す特徴がある。それは「ワイン樽熟成原酒」をブレンドに用いていることだ。
 サントリーでは非常に多様な原酒づくりが行われており、樽についてもシェリー樽、バーボン樽だけではなくミズナラ樽、梅酒樽など他の蒸溜所では見かけないような珍しい樽を熟成に用いている。こうした取組の中、ワイン樽を用いた熟成も長年研究が続けられており、近年ようやくブレンドに耐えうる品質のワイン樽熟成原酒が完成したそうだ。
 響ブレンダーズチョイスにブレンドされている代表的なワイン樽熟成原酒は、「山崎ワイン樽原酒(モルト)」「知多ワイン樽原酒(グレーン)」だ。ワイン樽熟成原酒の特徴として、もともとその樽に詰められていたワインの色味や酸味が原酒に加わるのはもちろんのこと、ミズナラ樽原酒とブレンドすることでこれまでにない新たな味わいを生み出すという点が挙げられる。この新しい味わいが、従来の響の骨格に甘やかさと華やかさをもたらし、響は新境地に達するに至ったのだ。
世界で愛されるウイスキーを目指し始まったサントリーのウイスキーづくり。
その目標は達されながらも、さらなる高みを目指し続けている。
常に伝統と革新を忘れず進化し続ける「響」こそ、まさしくその象徴ではないだろうか。
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